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元少年Aにしかできないこと

背高女(森田ゆり)平和公園でアメリカ・インディアンリーダーのデニス・バンクスにばったり

元少年Aにしかできないこと 森田ゆり 「絶歌:神戸連続児童殺傷事件 元少年A」を読んだ。そしてひどくがっかりした。後半4分の1は読み続ける気がなくなった。 がっかりしたのは、多くの評者が述べているらしいこと、つまりAの反省の言葉が少ないからではなく、Aの記述が自己顕示的だからでもない。 Aが、関東医療少年院で受けた6年半に及ぶ治療・矯正教育について完璧に沈黙し、ただの一言も書かなかったからだ。 「1997年10月20日。この日、(略)僕は、鑑定医たちが『数パーセントのわずかな可能性』と観測した『更生』へと向かって、おぼつかない足取りで歩いて行った。」で第一部は終わり、第二部は「21歳の春、僕は6年5か月に及んだ少年院生活を終え、社会に出た。」の一文から始まる。あたかも、その間だけ削除したかのように少年院での更生の日々の全てがすっぽりと抜けているのだ。 少年院でどのような治療矯正教育がなされたのか、それをAはどのように受け、その間どのような抵抗と寛解と、困難と成功があったのか。精神医療的な、あるいは心理療法的な、あるいは社会スキル的なプログラムはどのように組まれたのか。どの時点でどのような試行錯誤と前進とがあったのか。そのためにどれだけの時間と人的資源と経済資源とテクノロジーとが投じられたのか。 逮捕後の医療鑑定で「性的サディズム」と「行為障害」と診断された14歳の少年Aの病気に対して、6年半にわたってどのような治療がなされたのか、それはどのように効果を発揮し、退院が可能となったのか。 平易な言葉でいうなら「サイコパス」という他者への共感性の脳機能に異常のあった状態から、どのように脳は感情機能を回復したのか。日本のみならず、世界でこの分野で仕事をする者ならば、なんとしても知りたい事例なのである。 原則2年間で収監を終えるところを、Aは異例で6年半まで延長されたうえで、治療更生の完了と認定を受けて社会に出た。 「少年A 矯正2500日 全記録」草薙厚子著という本が2004年に出版されている。表紙には「極秘の贖罪教育と矯正教育を初めて明かす衝撃のレポート」との宣伝コピーがついていたが、題名およびコピー文と本の内実にはかなりの隔たりがあった。当然のことだが、治療矯正教育の内容は大まかなことしか書かれていない。この著者は過去15年間に話題になった特異な少年事件をかなり突っ込んでルポしていることで知られているが、取材で書けることは当然限られている。少年Aの治療法として、女性の精神科医を母親役として疑似家族を形成し、Aを赤ん坊の愛着形成から育てなおす方法が効果を奏したことがうかがえるにすぎない。 関東医療少年院で、日本のトップレベルの精神科医と多くの専門家とスタッフ総がかりでの、6年半の歳月を投じた回復治療対応には、莫大な公費が使われている。本来その経験は社会に還元されるべきものである。法務省がそれを公開し、貴重な社会的資源とすることが出来ないのだとしたら、それを公けにできるのは、A本人しかいない。それを期待していた。 共感力をとりもどしたAは、本書の中で、自分のしたことへの罪悪感にうちのめされながら、「贖罪」するには何をすればよいのかと苦悩している。被害者の遺族に対して、自分の家族に対して、社会全体に対して贖罪をしたいと強く望んでいる。ならば、答えは明快ではないか。 遺族、家族、社会、その誰もがなによりも願っていることは、二度と同じような事件を発生させないことだ。ならばAの贖罪とは、そのために貢献することにほかならない。Aと同じような障がいを持つ人が犯罪を犯さないために、本人は、家族は、相談員は、医師は、教師は、警察は、司法制度は、児童福祉制度は、何に配慮し、何をしたらよいのかを炙り出す自分事例検討、べてるの家風に言うのなら「当事者研究」をすることができるではないか。共感性や罪意識が欠如し、誇大な自己陶酔感に浸ってしまう脳の異常作動に苦しむサイコパスは日本でも少なくない。 Aが第一部で克明に描写した幼少期から事件に至る迄の、どこでどのように外からの関わりがあれば、殺人に至る迄の「性的サディズム」行動化のエスカレートをストップすることができたのかを書くことで、犯罪予防への多大な貢献ができる。猫殺しを夢中で続けた2年間に、二人の少女を路上で襲い彩香ちゃんを殺害してから、級友のダフネ君が、あれはAの仕業だと学校内で触れ回るまでの2か月間に、ダフネ君をして直後に転校させるほどに恐怖に陥れたAによる残虐なまでの殴打とナイフでの襲撃から、淳君殺害までの10日間に、誰がどのようにAに関われば、自分でも止められなくなってしまったサディズム行為のエスカレートをストップできたのか。第二部で、少年院を出てから11年間のどん底暮らしでいかに多くの苦労を重ねたかをぐだぐだと書き綴るのではなく、Aはそれをこそ、克明に書くべきだった。 事件に至る前の精神科医での診察、児童相談所でのカウンセリング通所、学校教師による親の呼び出し、それらひとつひとつが、行為のエスカレートに拍車をかけこそすれ、抑止につながらなかったのはなぜか。どのような対応がどの時点であれば良かったのか。そして6年半の少年院での治療矯正教育での自分の変化のすべてを克明に書いてほしい。 それを徹底的に追及して社会に提示することができたとき、Aは初めて、身勝手な自己弁護ではなく、彼の言葉を使うならば「自分自身から逃げる」ことを止め、「自分の過去と対峙」することが出来るだろう。     一杯の水に合掌 原爆忌      父・森田宗一の句です。 明日8月4日から3日間、広島です。暑い、熱い広島の夏。 汗ぬぐいながらの平和記念公園。 いつも不思議な出会いがあります。 写真は、まだ背高女としてあちらこちらと出没していた数年前、平和公園でアメリカ・インディアンリーダーのデニス・バンクスにばったり。デニスは、わたしを見上げて「わーおおおお!!」 デニスとは「聖なる魂」という彼の半生記の本を一緒に書いて、1988年に朝日ジャーナルノンフィクション大賞をいただきました。 今年はどんな出会いがあるでしょう。 今週末のアサーティブネス研修で、広島の3日間体験をシェアしますね。 アサーティブネス研修のご案内日時:2015年8月8~9日 (土・日) AM10:00~PM5:00 場所:大阪市市民交流センターひがしよどがわ テキスト:『アサーティブネス研修ワークブック』(森田ゆり著エンパワメント・センター) サブテキスト:『多様性トレーニングガイド』(森田ゆり著 解放出版) 参加費:20,000円(テキスト代は、別) 目的: アサーティブネスの方法とスキルを学び、ロールプレイで練習する。 内容: 自己診断/わたしの内なるちからへの信頼/短所は長所/怒りの仮面/ 否定的なひとりごとの書き換え/I(わたし)メッセージの練習/アサーティ ブスキルのまとめ/自分の課題でロールプレイをしてコーチングを受ける アメリカと日本で、25年間毎年実施してきて、すでに2000人以上の受講修了生がいる最も人気のある研修。アサーティブ・コミュニケーション力をつけるには、他者にどう対応するかのスキルを学ぶ以前にまず自分を知ることが不可欠です。1日目は、自分を深く知るアクティビティと、他者への効果的な対応をワークシート、グループワーク、ロールプレイでしっかりと身に着けます。 2日目は、参加者が自分の課題でロールプレイをし、森田が逐一適切なフィードバックでコーチングをします。多くの修了生が、人生の大きな転換になったと感想を述べています。 詳細・申し込み:http://empowerment-center.net/koza/#assertive   9月の研修は、笑いヨガリーダー養成講座

気もちの本のワークショップ

inside out

7月にカリフォルニア・オークランドの自宅に滞在中、久しぶりに会った末息子に誘われてPixarのコンピューターアニメ3D映画「Inside Out」を見ました。日本では「インサイド ヘッド」という題で封切になったばかりです。11歳の少女の頭の中の「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の5つの気もちが主人公。気持について考えさせるアニメです。 12年前、子どもと大人に気持ちについて考えてもらいたくて、絵本「気持ちの本」を日本で出版しました。映画では、カナシミの感情が重要な役割を果たしますが、「気もちの本」では、イカリの感情の秘密の役割がポイントです。 「気持ちの本」の表紙の4つの気もちの顔を書いてくれたのは当時6歳の末息子。今回の映画の気持ちのキャラクターとまったく同じ色、ヨロコビとカナシミの顔がそっくりなのには驚き! そして今回、この映画を見に行こうと誘ってくれたのが、なんとその末息子でした。 「わたしたちの社会では、感情を率直に表現することは好まれてきませんでした。楽しい、幸せなどの快の感情はともかく、怒り、悲しみ、寂しさと言った感情を人に語ることは、いけないことであるように考えられてきました。(中略)しかし感情に、快、不快はあっても、良い、悪いはありません。どんな感情をいだいてもいいのです。大切なことは、自分の心に渦巻くこれらの気持ちを正直に受け止めて、その気持ちをどのように表現するかです。怒りやねたみの気持ちから、人をおとしいれたり、いやがらせをしたり、暴力をふるったりするのは困ります。一方、怒りやねたみの気持ちをひとりで抱え込み、抑圧するのも良くありません。抑圧することで感情が消えてしまうことはめったにありません。抑圧された感情は心の奥底にいつまでもよどみ、形を変えて健康な心を蝕みはじめます。変形してしまった感情は、他者や自分への攻撃として現われがちです。また、その感情を本来向けるべき対象が、不明確になってしまうこともよくあります。たとえば、暴力や虐待を受けた人の怒りの対象は、その加害者に向けられるはずのものなのに、被害者自身やその他の人に向けられることが少なくありません。」 「怒りや悔しさや悲しさの感情を、言葉にして相手に伝えるのは、相手を傷つけたいからではなく、相手に自分の気持ちを理解してほしいからです。わたしたち人間は、子どもであれ、おとなであれ、相手に自分の気持ちを解ってほしいという大変に強い欲求を持っています。しかし、多くの場合、人は、怒りを相手になげつけるようなやり方でしか表現しないために、相手の理解を得るどころが、相手を怒らせてしまい、結果的に、互いを傷つけあう感情のボールのぶつけ合いになってしまうのです。」 (「気もちの本」森田ゆり著 童話館出版より) 「「気もちの本」を使った気もちのワークショップ・ファシリテーター養成講座」7月25日に新大阪駅前会場で開催しました。気づきと発見がたくさんつまった一日でした。関東、四国、山陰からも参加、大学高校教員、保育士、臨床心理士、主婦、発達障がいの専門家、コーチングトレーナーなどなど、22人の多彩な顔ぶれ。「気持ちのワークショップ」のカリキュラムやアクティビティシートなどのほかにも、ここで出会った貴重なつながりも持って帰っていただきました。 10年続けてきたこの研修。日本の各地で、学校や学童や親子教室や病院で、気持ちワークショップが実施されています。子どもたちは気持ちを率直に言葉にし、また人の気持ちを共感して聞く方法を練習します。 今回、シナリオやワークシートなど大幅なアップデートをしました。 次回は1月に大阪で開催の予定です。 詳細 申し込み  http://empowerment-center.net/koza/#kimochi 参加者のアンケートから 「怒りの仮面」はとてもインパクトがありました。カウンセリングに生かしていきます」 「気もちのワーク」を子どもたちにするカリキュラムを学びながら、同時に長年の経験に裏打ちされたファシリテーターとしてのスキルやツールを惜しみなく伝授していただきました」 「今回もまたパワーをもらいました」 「充実していて一日では足りない」 「明日から使えることばかりでした。さっそくコーチングの中で使っていきます。」 aa   aa  

十数年に訪れたグランドキャニオンで

十数年に訪れたグランドキャニオンで

  平和行進は、ナバホ居留地のツーバシティの市民会館まで15マイルを歩き、そこに泊めてもらった。夕食時に小学生のディネの少女が母親と祖母と一緒に来て、伝統的な踊りを踊ってくれた。衣装を2回も着替えていくつも踊りを披露してくれたので、私たちも一緒に踊った。 祖母は、今また大変なことがおきているのです、グランドキャニオン周辺のインディアン、ディネ、ホピ、ハバスパイ、ズニなどインディアンは、大企業と政府による新たな聖地への攻撃の事態に直面している、このことを緊急に世界に知らせてほしいと語った。 なんとグランドキャニオン・リゾート開発が、1億2千万ドル予算で始まろうとしているのだ。 http://savetheconfluence.com/   私たちの聖地で儲けようとする企業が政府と一緒になって次々とやってくる。 グランドキャニオンの底に向けて、ロープウエイとゴンドラを通し、ホテルを建設するというリゾート建設予定地は、周辺12のインディアン部族にとって最も大切な聖地、神話の発祥地、祈りの場所、精神的よりどころされてきたところ、赤いコロラド川とトルコブルー色の小コロラド川が合流するconfluence (合流点)だ。 ここには生命誕生の神話があり、インディアンの人々は今もここで祈りの儀式をする。 Indian people around the four corners oppose to $120million resort development at the sacred confluence of the Grand Canyon. The plan includes construction of hotels and escarade gondora to the bottom of the canyon. For Dineh, Hopi, Havasupai, Zuni and other Indian tribes , Grand・・・

2014年8月沖縄

2014年8月沖縄

7月の後半に日本に戻り、東京、福岡、大阪、富山、大阪とあわただしく往ったり来たりした後で、沖縄入りしました。今年の沖縄の旅のキーワードは「のんびり」です。 メインの仕事は、県立北部病院での研修。「ファシリテ―ション~コメント力と質問力のスキルアップ」 丸一日の研修に病院のドクター、ナース、スタッフ、地域の要保護児童対策協議会の方々など46人が参加され、グループ・ディスカッションやロールプレイに熱心に取り組まれて、とてもやりがいのある研修でした。 前日、名護市で予定されていた「体罰の問題性とそれに代わる関わり」の講演会は200人の参加申し込みがあったそうだけれど、台風の影響で警報が出てキャンセル。「台風が近ずいて来て、ちむさわさわー」と主催者の一人が言われて、わあ、みごとな表現と感心しました。主催者としてはいらいら心配でならなかったのでしょう。でもわたしはおかげで、名護で「のんびり」の日がもう一日増えました。                         感情は風のある空の雲のようにやってきたかと思うと去っていく。 意識的な呼吸こそわたしのアンカー(錨)だ。 ~ Thich Nhat Hanh(ティック・ナット・ハン)   那覇ではヨガの半日ワークショップを開かせて頂き、身体をいたわり、伸ばし、瞑想することに参加してくれた方たちと穏やかな時の流れを共有できて、ナマステ、感謝、ありがとう。 アロハ・ヨガはハワイの自然のたくさんのイメージ ~海藻、ひとで、亀、ゲッコー、ヤシの木、引いては寄せる波の上のココナッツ、太陽の光、水平線に落ちる夕陽など~ を使うので、ここ沖縄でするのにはぴったりなのです。     息を吸い 身体を鎮める  息を吐き、ほほえむ この瞬間に生きる  素晴らしい瞬間だと知る (ティック・ナット・ハン「ビーイング・ピース」中公文庫)   やんばるの自然をダイナミックに謳歌して暮らしている小児科ドクターの案内で、川をじゃぶじゃぶ登って行ったら、大きな滝が現れました。「さあ、この滝のてっぺんに登りましょう」と先導する彼女の後について、地面に打ち込まれたロープに身を任せて崖を懸命に登り続けたら、滝の頂点に出ました。なんと爽快な気分でしょう。 ヤッホー!と大声で呼んでも滝の音に消されて誰にも聞こえないのに、わたしはてっぺんから何度も叫んでいました。     スクーバダイビングのライセンスを取得しました。名護市のジャミングというダイビングショップが絶対のオススメ。美ら海水族館に行くのだったら、このショップへ是非とも寄ってください。 www.jamming-dive.net 私たち二人にまるまる三日間、つきっきりで、しっかりと教えてくれたインストラクターの和田さんはとってもチャーミングな青年。彼のおかげで、土砂降りの雨降る中を潜り、水上とは一転した、海中の穏やかで静かな世界を体験。みごとなサンゴ礁の群生する上をクマノミはじめ何百種ものカラフルな魚たちと一緒に泳ぎました。 沖縄の海の中は、ハワイの海より、はるかに多種多様な色彩で繊細なサンゴの宝庫であることを改めて実感しました。和田さんが、名護湾にはまたサンゴが戻ってきていると言っていた。     今回は、美ら海水族館のある側の名護湾で潜ったけれど、同じ名護市でも東側の海は、辺野古湾、大浦湾。以前行ったとき、その白い砂浜とコバルトブルーの海の美しさに息をのんだ。絶滅危惧種・ジュゴンの餌の海草(うみくさ)が広がり、世界一の規模を誇るアオサンゴ大群落、干潟、マングローブ林などの生態系が重層に支えあういのちの多様性の宝庫です。ここで、住民、県民の意志に反して、米軍基地移転の強行が日本政府によって着々と進行しています。 十数年前、関西の飛行場のモノレールの中で、沖縄在住だった米国の海洋生物学者キャサリーン・ミュージックさんに偶然出会ったことがありました。「これ、わたしの書いた本。もらって。あなたの子どもに読んであげて」と『エリセラさんご』という絵本を彼女から手渡されました。それはわたしの大好きな絵本の一冊となり、その頃まだ幼児だった末息子に繰り返し読んだのでそらで覚えてしまいました。 そのキャサリーンさんが、最近、大浦湾、辺野古の自然破壊を目前にして、キャロライン・ケネディ米国駐日大使にあてた手紙が公表されていました。ほんの一部を紹介します。 「私がこの長い手紙を書いたのは、沖縄本島北東部の大浦湾(辺野古)にある素晴らしいサンゴ礁生態系を日米の軍備増強計画がもたらす破壊から守るよう、あなたのご助力を嘆願するためです。 私は過去11年間(1981年~1988年と2007年~2011年)沖縄に住み、海洋生物学者として働いてきました。そして北は奄美大島や喜界島から、南は与那国島まで、琉球列島全域の海に潜ってきました。この経験から私は、大浦湾の美しいサンゴ礁に匹敵するサンゴ礁生態系は他に残っていないことを保証します。何ということでしょうか! (あきさみよー!) このサンゴ礁が今も生き残っていることは、本当に奇跡といってよいでしょう。ここではサンゴの病気や白化が見られないのです!ここのサンゴ礁は、太平洋からカリブ海まで世界中のサンゴ礁を襲い破壊し続けている様々な問題を回避しているのです。(世界中のサンゴ礁が死滅しつつあり、現存するサンゴ礁が非常に貴重なものであることを、あなたも痛感されているでしょう。)」 そして、彼女は海洋生物学者である天皇陛下との親交を述べたうえで、ケネディ大使に一緒に辺野古の海に潜りましょうと提案している。 すでに辺野古では、埋め立て工事の前提となる海底のボーリング調査を行うための準備工事が、抗議する人々のボートを牽制しながら、始まっている。 辺野古が気になり、日本政府に腹が立つ。でもわたしにできることが見えない。沖縄滞在最後の夕方。名物のぜんざい食べて、怒りをしずめよう。路上で出会った女子中学生たちが「ぜんざいならここさー」と教えてくれた『ひがし食堂』。 山盛りのふわふわかき氷の下に黒糖味の大きな金時豆がどっさりだった。     前回のブログに載せた研修案内のうち、北海道の研修の詳細に誤植がありましたので、以下に訂正します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 森田ゆり講師の関連テーマ研修 in 大阪 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 時間 9時半~17時   定員50人 研修の申し込みは・・・

メールマガジン78号の写真

7日間の沈黙瞑想行の解除  ヴィヴィアンと

メールマガジン78号の写真 2014年7月25日 カリフォルニアは毎日、雲一つない真っ青な空がひろがっていて、乾いた陽光がシャワーのように降り注ぎ、とても気持ちよい。裏庭は木が多く少しひんやりしている。毎朝裏庭の木に囲まれて、ヨガをしながら、朝日を迎える。ハワイの祈り、エアラエ!(朝日よ!)をチャントしながら。 5月の末に、ハワイを出て、カリフォルニアの自宅で暮らし始めた。17年前に思い切ってカリフォルニア大学を辞任し、この家から西宮の関西学院大学構内の古くて大きな西洋館に引越しした日のことが、つい先月のことのように思い出される。   この庭に有機野菜を育てることがこの夏の目標だ。 オレンジやレモン、ビワは17年前も同じように見事な実をつけていた。プラムの木は毎年赤い実がたわわになって、取りきれなくて鳥とリスに食べてもらっていたのに、木が病気になったようで、半分枯れてしまった。プラムジュースを作って飲むのを楽しみにしていたのに。 有機の土をぼかしで作って、畑を作り、トマト、なす、ピーマン、小松菜、ズキーニ、カボチャ、いちご、そして8種類のハーブを植えた。2か月間で、それぞれしっかり成長してくれて、毎朝、庭をまわり「おはよう」とあいさつするのが日課となった。 表庭は芝をはがして、カリフォルニアネイティブの野花の種をたくさん蒔き、コスモスの苗を植えた。2か月でコスモスはぐんぐん成長して、大輪のピンクの花をさかせて揺れている。 俳人でもあった父はコスモスが好きで、彼の晩年の句を思い出した。 「残る日々 合掌一筋 秋桜」 17年間で変わったことといえば、この街オークランドの犯罪多発地区にも都市農場がいくつもできたこと。空地や庭で野菜を作る人口がだいぶ増えたようだ。 BBQパーティーもかつてのように肉をジュージューというより、大きなズキー二の厚切りやアスパラのオリーブ油漬け、マッシュルームのチーズ焼きなどが好まれる。 そういえば、先日、娘夫婦と一緒にした裏庭でのBBQパーティーで、ちらし寿司を作ったら、友人たちが「ライスサラダ、最高!」といって大喜び。大きな皿に二つも作ったのに、すぐになくなってしまった。ちらし寿司をライスサラダと呼んだアメリカ人の親友のネーミングが新鮮だった。 我が家とのなじみを取り戻しながら、同時に昔の友人たちとも17年の歳月がたったことが信じられないくらい、すんなりと友情を復活させている。 その一人は、アメリカン・インディアンのキャロル・ワペパ。付き合いは34年になる。オークランドの貧困地域のただなかで、都市インディアンの若者たちの集まる場所、「サバイバルスクール」を開いていたインディアン・リーダー、故ビル・ワペパの妻だ。   彼女は今、NPOインター・トライバル・ハウス(都市インディアンのコミュニティ活動団体)のディレクターとして大活躍している。 「ゆり、毎週木曜日は、ドラムと踊りのクラスとコミュニティーディナーだから、来て」とメールが来る。「ゆり、有機野菜ガーデンのボランティアに来ない?」と次々と誘ってくれる。     キャロルも私も同年齢の子どもたちがいて、当時も、インター・トライバル・ハウスでイベントがあると、彼女と私の子どもたちはハウスの中を駆け回って遊んでいた。 健康クラス、子どもたちのサマーキャンプ、ティーンズのアートクラス、インディアンの伝統ダンスとドラムクラス。高齢者向けのヨガクラス。そして毎週のコミュニティディナー。キャロルは才能ある人々の協力を次々と取り付けて多彩なプログラムを企画している。 もちろんすべて無料で提供なので、財源確保が大変だ。でもそれも彼女にとっては嬉しい仕事のようで、ニコニコ顔が絶えない。17年ぶりに会うキャロルは孫3人の世話を楽しみながら、インディアンコミュニティに奉仕する毎日が楽しくてならないようだ。 オークランドのダウンタウンはかつてわたしのオフィスがあったところだ。そのすぐ近くに、10年前にイーストベイ・メディテーション・センター(東湾瞑想センター)EBMCができた。 わたしは、6月の初めから、ほとんど毎日のように、このセンターに通って、ヨガ、気功、瞑想をしている。     週末には丸一日研修がしばしば開かれる。「怒りの感情と瞑想」「仏陀の慈悲(マイトリー)の瞑想」「仏陀の教えによる非暴力による対立解消」といったテーマの研修に参加した。 ここは、すべて無料で、dana(お布施)によって運営されている。仏陀の教えに倣って、教える先生たちは、アメリカ仏教やヨガ、瞑想のエクスパートだが、danaを受け取るだけ。 また、ここは、人種マイノリティーや性マイノリティーの人たちのためのクラスも頻繁に開催している。 何度も出入りするうちに、友達がたくさんできた。 ヨガのクラスに参加したとき、わたしのすぐ隣のマットに座っていた背の高いアフリカ系アメリカ人の女性が、「あなた、ずーっと昔にCAPをやっていたゆりじゃない?」と声をかけられてびっくりした。「わたしはそのもっと前、コロンバスのオハイオでCAPが始まった70年代後半にサリークーパーたちと一緒にCAPをやっていたネルよ」と言う。 思わぬ出会いに互いに嬉しくなって、後日、待合せて、オークランドの湖を一緒に散歩した。彼女はわたしが知っていた頃は男性として生きていて、名前もネルソンだったことがわかり、思い出せなかったのも無理はない。 「33年前のことなのに、わたしのこと覚えていてくれて嬉しい」と言ったら 「そりゃそうよ。CAPはその後のわたしの人生の考え方の原点になったんだから」という。 「それって、日本のCAPのベテランたちが言うことと同じよ」 それからしばらく、私たちはそれぞれのCAP以降の人生を語り合った。   湖畔の散歩から5日後、わたしは親友、ビビアンと一緒にマリン郡の山の中の美しいリトリートセンターでの7日間の沈黙瞑想合宿へ向かった。彼女はCAP時代、全国各地でCAP養成講座のトレーニングをわたしと一緒にやった相棒だ。 7日間一言も話さずに100人近くの人々と一緒に瞑想とヨガをするリトリートは、まさにその言葉どおり、リ・トリート(あらためて自分ケアをする)だった。こんなに「今、ここ」の自分の心身にすべてを集中させる時間の流れに身をまかせたのはいつだったろうか。おそらく、子ども時代以来のことのように思う。 朝5時半、山や丘がまだ霧に覆われている中、一人山を登って、高台でヨガ瞑想をした。ほかにもヨガをしている人がいる。言葉をかわさなくても、何の違和感もなく、ただその人の存在を心地好く受け入れている自分がとても興味深い。 ネイティブアメリカン動物占い師からわたしは七面鳥。 これからは無償の愛を世界にもたらすために生きるでしょう と言われて神妙な思いになった。 言葉を使わずに、「今、ここ」にすべてを集中する瞑想を一日に10時間以上つづけていると、自然の音や気配に敏感になる。鹿の家族三匹が山を下りてくる気配がわかる。七面鳥の雄と雌が会話を交わしている声が聞こえる。 45分の座禅瞑想、30分の歩行瞑想、45分のヨガ瞑想を夜まで交互に続ける。 夜の法話はもっぱら「マインドフルネス」の方法や効果や仏陀の教えだ。アメリカでは、医療、メンタルヘルス、教育、福祉、ビジネスマネジメントと多岐にわたる分野で「マインドフルネス」の活用が超ロングランで大人気だ。メンタルヘルスでは「認知行動療法」はすっかり影をひそめてしまった。グーグル社などのIT先進企業では、職員研修にマインドフルネス瞑想をとりいれて数年になる。 満天の星の下で、マインドフルネスの華やかな成功譚ではなく、「今に生きよ」 との仏陀の声に耳をすます。     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 森田ゆり講師の関連テーマ研修 in 大阪・・・

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