「児童虐待防止法の改正を準備する会」会報第8号 巻頭言

会報8号 巻頭文 2004年4月10日

森田ゆり エンパワメント・センター主宰

児童虐待防止法の改正法案が国会で成立しました!

満開の桜が花吹雪となって散っています。心沸き立つような、はかない寂しさのような、不思議な心模様の日々です。

報道でご存知のように、4月7日に児童虐待防止法の改正法案が国会で成立しました。2月に国会へ提出されている児童福祉法の虐待関連3項目は審議と採決待ちの状態です。

1月末に岸和田市の15歳少年の虐待事件が発覚し、続いて虐待死を含む深刻な虐待事件の報道が連発したことは、10月の衆議院選挙以降、小休止していた児童虐待防止法の国会内の改正作業に一気に拍車をかけたようです。

児童虐待防止法の改正に関しては、この会が要望してきたいくつもの事項が改正条文に盛り込まれました。

社民党の保坂展人元衆議院議員がイニシアチブを取って進めた超党派のプロジェクトチームの検討会の成果が今回の法改正の下地になりました。

わたしたちの会はそのプロジェクトチームの事務局に4ヶ月間ボランティアを派遣して、法改正の下地作りに貢献したのです。

3年半前、虐待防止にはあまりに実行力のない新法の成立に憤り、法の施行と同時にこの会を立ち上げました。以来会員の皆さんの支援と助言をいただきながら、国会議員と厚生労働省へ意見を言い続けてきました。

この会が主張し続けなかったら改正案に入らなかっただろう条文もあります。あきらめずに主張し続けて良かった!と感慨を込めて思います。

しかし、立ち入り調査から親子分離、親の回復支援受講命令、親子再統合に至るまでを裁判所の迅速な審判で行うシステムの制度化は、残念なことに更に3年後に先送りになりました。

岸和田事件のような深刻な虐待を未然に防ぐためには、最も必要な制度です。日本の司法の壁の厚さを思いました。この会の役割は終わらないようです。

引き続き子どもの人権尊重の代弁者として現場の声を国政決定者たちに届け続けますので、会員の皆さんのお力添えをお願いします。

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