「児童虐待防止法の改正を準備する会」会報 第7号

会報7号   2003年7月23日

森田 ゆり(エンパワメント・センター主宰)

 

学校を場にして教職員、親、生徒への虐待防止の研修を改正案に!

国会内で防止法改正の論点整理が進んでいます。この法律が衆議院の青少年特別委員会による議員立法だったこともあり、秋、または冬の衆議院解散前に児童虐待防止法の改正案が国会に上程されることになると思われます。

法改正が必要ないくつもの点の中でも、とりわけわたしたちが主張し続けないと、改正条項の中に入らないだろうと危惧している事項があります。この法律における文部科学省の役割です。

第4条の「国及び地方公共団体の責務」については、現行法では研修、広報、啓発について書かれているだけなので、予防から家族再統合に至るまで、それぞれの分野における国、地方自治体の具体的な責任を明文化する必要があります。

予防・啓発においては、乳幼児への虐待予防のため、保健所・保健センターの役割を明確にする必要がある、と同時に学童期以上の子どもへの虐待予防として、学校の役割の重要性を忘れてはなりません。教職員、親、そして子どもへの虐待予防の研修を学校の場で、地域の民間プログラムや民生児童委員を活用して実施する制度化を明文化する必要があります。

現行法で教師は、早期発見に努める義務が明記されましたが、早期発見のためには研修が必要です。子どもがサインを発しているのに気がつけない、あるいは気がついていても、どう対応したらよいかわからないでいる教師が大変多いです。

毎年、学校で健康診断を行って病気の発生を抑えているのと同じように、子どもの人権尊重を根底においた虐待予防研修を学校で、教師、親、生徒に同時に実施することを明文化しましょう。

保健所と学校を場にして疫病予防と健康管理を実施する日本の公衆衛生施策は、国際的にも高く評価された優れたものです。 虐待予防も、地域コミュニティーの核としての学校と保健所を場にして研修、啓発をおこなっていくことで、世界的にも他国のモデルとなり得る優れた施策を実施していくことができるでしょう。

(森田 ゆり)

もくじ

  • ショート・インタビュー  教師に聴く 初田元明さん・・・・・・・・・・・・・・・2
  • 児童虐待防止法の改正を前に 児童虐待防止法の改正を準備する会 森田ゆり・・・・・3
  • 国会豆知識  議員に会うには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
  • 国会こぼれ話
  • ① 国会の時の流れ  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
  • ② すごいデーター・ベース  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
  • 添付資料 「児童虐待防止法改正ニュース」 1~10号
    児童虐待防止法改正検討チーム議員名簿

 

 

ショート・インタビュー  教師に聴く 初田元明 さん

Q:今日はお忙しいなか、ありがとうございます。早速ですが、児童虐待防止法5条で学校の教職員も児童虐待の早期発見に務めなければいけない、とありますが、その辺り現場の教師たちはどうですか?指導・研修などはおこなわれているのでしょうか。

初田:せっかく法で規定されても、虐待の知識がないと意味がありません。虐待を発見したらどうしたらいいか、何処へ繋げばいいか等虐待に関わるシステムを知らなければなりません。現場でその事をきちんと知っている人は少ないです。

管理職でも言わないと解らないと言うことが多い。だから研修と言うことはとても大切です。 一人ひとりに周知徹底すべきです。現場では温度差がありすぎ、研修もやったりやらなかったりでは困るので、研修の明記が必要ですね。

この法律には子どもの人権という視点が抜けてるでしょう、だから、学校では虐待は親が子どもにするもの、つまり家庭の問題とどうしても考えてしまいがちです。でも、決して家庭だけの問題ではないですよね。社会の問題であると共通認識を持つためにも研修は必要ですね。

 

Q:改正の論点の中で、乳幼児への対策、さらには保健士を通しての出産前からの対策などは盛んに言われるのですが、学童期のことはあまりいわれていません。その事に関してどう思われますか?

初田:虐待の定義を見ても解るように、虐待は親がするもの、親の問題、だから教師には関係ないんだという意識が強いからじゃないでしょうか。虐待は子どもの人権侵害であるという意識は低いです。子どもがある程度大きくなれば虐待とは関係なくなる、虐待は減ると思ってしまうんじゃないでしょうか。

 

Q:子どもに対する予防教育という事はどう思われますか?

初田:子どもは虐待されてもどうしていいかわからない、具体的に言えない、まわりの大人もそれは家庭の問題だと考えている、じゃあ自分が悪いのかと思ってしまいます。虐待は家庭の問題ではなく、人権侵害であるという意識を周りの大人も、そして子どもも持つべきです。 子どもが自分の気持ちを言ったとしても、気持ちが伝わらないことがよくあります。子どもの話を聴く姿勢も大切です。

この法律に人権の視点が抜けていると言うことは問題です。だから虐待の定義も「親または親に代わって子どもを看護するもの」というせまいものになってしまっている。家庭の問題だからという意識があるから、研修も充分なものでなくなる。予防教育もいい加減になってしまいがち。いろんな所へ悪循環を及ぼしています。ここは是非いいものにしていただきたいと思います。法律を実効力のあるものにして欲しいと思います。

 
児童虐待防止法の改正・家と家族

 

児童虐待防止の改正を前に
森田 ゆり(児童虐待防止法の改正を準備する会代表)

☆改正に向けた動向 ☆

この法律は子どもの虐待の禁止を初めて明文化した点においては、歴史的な意義を持ったが、立法のプロセスで論議された多くの最重要課題は法制化に至らなかった。

「条文内容の不十分さを認識しながらも、成立したことをポジティブに受けとめて、現場のわたしたちが120パーセントこの法律を活用し、実績を数値に表わし、3年後の改正に備えることが必要だと考える。」(本誌の2000年11月号掲載の森田ゆり「児童虐待防止法の施行を前に」)

改正に備えるために筆者は、2000年11月の法律施行と同時に「児童虐待防止法の改正を準備する会」(会員230人)を立ち上げて、法改正にむけた市民の動きの高揚を目指した。

この会の目的は:①子どもの心身の安心安全を最優先し、②現場で虐待問題に携わる者の立場を最優先するという視点から、児童虐待防止法の3年後の改正に向けて行政、民間を問わず市民の声を改正に反映させるための準備をすることである。ニュースレターを発行し、アンケート実施やシンポジウムの開催によって、現場の声を国会や厚労省に届けてきた。

翌2001年6月には「児童虐待防止法改正を求める全国ネットワーク」が発足し、防止法の問題点を論じるシンポジウムの開催を重ね、昨年12月には東京日比谷で「子どもたちの虐待死を悼み、命を讃える市民集会」を開催した。集会とパレードには子どもの虐待問題に携わるNPO、行政職員など約100団体、4000人の人々が全国から集まった。

国会内でも、昨年は参議院共生調査会(小野清子会長)が半年に渡って児度虐待防止法改正を考える調査を行い、中間報告書をまとめた。またチャイルドライン議員連盟では何度もこのテーマで学習会を開いた。

厚生労働省も、昨年末には法改正に向けた論点整理を目的とする専門委員会を立ち上げ、今年の夏をめどに提言をまとめつつある。 そしてこの5月には衆議院青少年特別委員会(青山二三理事長)が防止法改正に向けて動き出した。

こうした国会内外の法改正への動きの高まりの中で、6月に衆院、参院を問わず、超党派の議員が集まり、改正法案の起草委員会を発足させた。筆者が代表を勤める「児童虐待防止法の改正を準備する会」はロビーイストを国会に派遣して、会員の要望や意見を法改正を決定する機関へのはたらきかけをおこなっている。

通常国会が7月末まで延長になったことを考えると、法改正の骨格は7月中には出来上がり、秋の国会に提出される可能性が高い。

 

☆ 改正必要点☆

児童虐待問題に対応する取り組みは、虐待の発生予防にはじまり、親子再統合そして子どもの自立に至るまでの総合的なトータルな支援体制が不可欠である。この取り組み全体をひとつの家にたとえるならば、法律はその家の柱である。

ところが、現行の児童福祉法および児童虐待防止法はこの大きな家の入り口付近の柱が数本立っているだけの状態と言える。この家はおおまかにわけると次のような四つの役割を持つ部屋を必要とする。

●第一次防止(primary prevention) 虐待が起きる前の予防、啓発 prevention

●第二次防止(secondary prevention)起きた虐待への介入、被虐待児の保護 intervention

●第三次防止(tertiary prevention)被虐待児への治療と家族再統合 treatment

●調査研究

今回の改正では、家の中の部屋がそれぞれの役割を果たし、各部屋のつながりがスムーズであるような設計を考慮して、家全体の柱をたてなければならない。

さて、改正必要点は多岐に渡るのだが、紙面の関係上ここでは次の8点だけ述べたい。

1.第一条の目的
この法律にはヴィジョンが明記されていない。子ども虐待とは子どもに対する力の濫用であり、身体的社会的に力の優位に立つ大人が、子どもの人としての尊厳、すなわち人権を侵害する行為である。子どもの人権を擁護するというヴィジョンがこの法律には明記されなければならない。ビジョンのない法律は、家の土台がないところに柱を立てることになる。

このことを3年前に本誌でわたしは次のように書いて指摘した。

「そもそも児童虐待に対応してきた現場では新立法に何が求められていたのだろう。

その第一はこの法律のヴィジョンだったと思う。子どもの虐待問題は、福祉、医療、教育、司法などさまざまな分野が緊密な協力関係を持たなければ対応できないという特殊性を持つ社会問題である。その際、さまざまな諸分野の人々が共有できるヴィジョンが必要になる。そのヴジョンを一言で述べると『子どもの人権を保障する』ということになる。

被虐待児とは人として尊重されることのなかった子どもたちである。その子どもたちに、「あなたは人として尊重されなければならない大切な人なんだよ」「もしあなたのまわりの大人たちがあなたの人としての尊厳を蹂躪するのだったら、わたしたちが、国が、あなたのまわりの大人たちに、あなたを人として尊重するようにさせるからね」と言ってあげる事。

それがこの法律の心であると思う。それを短い言葉で言いかえると「子どもの人権を保障する」という事になる。それが法律の序文に明記されなかった事は残念でならない。」(本誌の2000年11月号掲載の森田ゆり「児童虐待防止法の施行を前に」)

参議院共生調査会(小野清子会長)が虐待防止法施行以降の虐待問題の現状を半年間調査した後に、昨年の6月に発表した児童虐待防止の施策に関する中間報告書でもこのことは次のように、第一に取り上げられた。「5、児童虐待の防止等に関する法律の見直しに当たっては、子どもの人権尊重の理念の明文化に留意して充分検討がなされる必要がある。」(中間報告書)

 

2.第二条 定義  現行法の条文は次のようになっている。

「この法律において、『児童虐待』とは、保護者(親権を行うもの、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ。)に対し、次に掲げる行為をすることをいう」として身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待、の四つのタイプを挙げている。

この条文によれば、虐待は加害者が保護者または養護施設の所長や職員の場合に限られてしまう。 子ども虐待の加害者は保護者に限らない。保育士や教師、リクリエーションやスポーツクラブのリーダーである場合もある。特に性虐待は加害者が保護者であるより、きょうだい、親戚の人、知人、友人、クラブのコーチ、教師、習い事の先生など、子どもの知っているさまざまな人々であるため、虐待とはみなされないことになる。

前述の参院共生調査会は『性虐待への適切な対応の必要性』を指摘しているが、虐待の中でもとりわけ対応が困難な性虐待ケースに現場がしっかりと対処できるようにするためにも、定義を現状にあったように変更することは最重要課題である。

現行法では虐待の四つのタイプをリストしているだけだが、それぞれのタイプの記述にもっと詳しくたくさんの例を示した条文にすることで何を虐待とみなすのかを明らかにしたい。その際、心理的虐待の例の中には、「子どもが保護者間の暴力の頻発する環境で育つこと」を是非とも入れる必要がある。

また、苛酷な体罰も虐待の定義のなかに明文化されなければならない。(たとえば、米国カリフォルニア州の法律では、体罰を次のように定義している。「苛酷なまたは不当な懲戒―児童に対して故意になされた不適切な懲戒により生じる身体的苦痛、または精神的被害」)

 

3.第4条の「国及び地方公共団体の責務」については、現行法では研修、広報、啓発について書かれているだけなので、「予防・啓発」「介入・保護」「治療・家族再統合」「調査研究」のそれぞれの四つの分野における国、地方自治体などの具体的な責任を明文化する必要がある。

「予防・啓発」においては、公衆衛生としての虐待予防施策の視点を明確にして、疫病予防と同じようなアプローチが最も効果的であることを周知させたい。すなわち地域コミュニティーにおける予防啓発の徹底によって虐待の発生件数を減らす。

具体的な法改正条項としては、乳幼児への虐待予防のため、保健所・保健センターの役割を明確にする必要がある。と同時に学童期以上の子どもへの虐待予防として、学校の役割の重要さを忘れてはならない。教職員、親、そして子どもへの虐待予防の研修を学校の場で、地域の民間プログラムを活用して実施する制度化を文部科学省の役割として明文化する必要がある。

この件に関して参院共生調査会は昨年次のように提言した。「4、児童虐待の防止についての提言」の冒頭で、「虐待を防止する予防的な教育の一環として、(中略)学校教育において、子ども自らが自分自身の身を守るような教育の推進に努力していく必要がある。」(中間報告書)

保健所・保健センターと学校を場にして疫病予防と健康管理を実施する日本の公衆衛生施策は、国際的にも高く評価された優れたものである。虐待予防も同じように地域コミュニティーの核としての学校と保健所を場にして研修、啓発をおこなっていくことで、世界的にも他国のモデルとなり得る優れた虐待予防施策を実施していくことができる。その際、1~2時間の講演会をすることで研修とみなすのではなく、参加者一人一人が考える研修、参加者が日々の暮らしに使える方法を学べる参加型の研修が必要である。

児童虐待・学校・親・教職員・地域コミュニティ

親へ
気づきと知識とスキルの提供――生きるちからとしての子どもの人権、子どもの虐待とドメスティックバイオレンス、虐待を発見したときどうするか、怖がっている子どもと話す方法。

教職員へ
気づきと知識とスキルの提供―― 教職員は現行虐待防止法第5条で、早期発見の努力を課せられているので、通告に関して必要な知識を知っているにとどまらず、子どもの生きるちからとしての人権の理解、子どもの虐待とドメスティックバイオレンスの知識、虐待が疑われる子どもと話す方法などが得られる研修が必要。

子どもへ
生きる力としての人権・人権感覚を育てる、虐待やその他の暴力にあいそうになったら、どうしたらよいか(大人に相談することの大切さとその方法、逃げる、止めてといってもよい)。
虐待のない社会を作るためには、子どものときからの予防教育の徹底が最も効果的でかつコストがかからない対策である。筆者は1980年代の前半に米国カリフォルニア州で子どもの虐待防止教育法の起草から制定にいたるまでのプロセスにNPO団体として参加し、幼稚園から高校までの公立学校で、人権概念に基づく予防教育プログラムの実施を義務づける法制化に成功した。

日本でも学校教育の中で、子どもの人権感覚を育てながら、虐待や暴力から身を守るための教育プログラムを日本中のすべての子どもに提供する必要性をこの法律の条文の中に組み込みたい。

資料:CAPの効果調査は2000年にISPCAN(子ども虐待ネグレクトの国際学会)ダーバン南アフリカで発表された報告が、月刊「ヒューマンライツ」(部落解放・人権研究所発行)2001年3月号と4月号に論文「CAPプログラムの効果~虐待防止/人権教育プログラムの効果調査~」森田ゆり著として掲載。

治療・家族再統合」のためには、裁判所が親子分離から、親の更正回復、そして家族再統合にいたるまでの判断を下すシステムが必要である。

<親によって虐待されている子どもの監護権を一時的に国または地方自治体があずかる(すなわち親子分離)>+<虐待している親に回復ケア受講命令を出す(親の更正)>+<家族再統合の基準を設定し判断する(すなわち措置解除の基準と判定)>。

この三つを裁判所の迅速な判断で行うシステムは、被虐待児へのケア、親へのケアを実現するために不可欠である。 こうした判定は児相がするのではなく、裁判所が迅速に判断しなければならず、児相はその判断結果をコーディネイト、モニター、フォローする。

裁判所の関与によるこのシステムがないということは、現場でのさまざまな試みと努力の土台がないということだ。虐待している親への回復のためのケアがないことが指摘されて久しい。ケアがないひとつの理由は、司法が関与する法的枠組みがないためケアを提供することが難しいからである。

児相でも施設でも、熱心な職員は、心身すりへらして、工夫をこらして一つ一つのケースに対処している。そういうなかで、児相や施設では燃え尽ききてしまうワーカーの数がふえている。法的土台のない所でなされる現場の貴重な努力は、10年後、20年後に実りあるものへと積み上げていくことにならない。

01年4月からの6ヶ月に起きた児童相談所に対する親等からの暴行、脅迫は136件。起きた場所の約7割が児童相談所内。受けた人の9割が児童福祉司。その半数近くが精神的なダメージを受けている。負傷した人、休職、退職、移転を希望する人もいる。加害者の約46%が実父、44%が実母。(日本子ども家庭総合研究所。02年1月発表)

同時に法の受け皿作りも緊急に進められなければならない。虐待している親への回復のためのケアプログラムの開発と実践者の育成が急務である。現在実践されているのは、いくつかの児童相談所での再統合プログラムの試み、いくつかの家庭児童相談室でのカウンセリング、MCG、ステップ・プログラム、MY TREE プログラム。筆者は2年前から‘MY TREEペアレンツ・プログラム’の開発、実施、指導者養成に取り組んでいる。

 

5.第五条「学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健士、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は~~早期発見につとめなければならない」とあるが、ここにもっと多くの職種を入れる。カウンセラー、児童館職員、医療関係者、子どものリクリエーション・リーダー、社会教育リーダーなど、子どもと接触する立場にある人のすべてを明文化したい。

また、それらの職種の人々へ「国及び地方公共団体は~~~研修など必要な措置を講じる」と研修の必要性が明記されなければならない。

 

6.第四条の1に「関係機関および民間団体との連携の強化」が描かれているが、現場での連携のネックになっているのが、守秘義務である。―― 民間も守秘義務を負うことを法律に明記することで、行政は民間、NPO団体の力を格段に活用しやすくなる。

 

7.第六条 「虐待を受けた児童を発見した者は~~通告しなければならない。」を「虐待の疑いのある児童に出会った者は~~通知・相談しなければならない」に変える。

 

8.子どもの虐待とドメスティックバイオレンス(DV)を同時に考えて対応する施策をもたらす法律改正を、DV法の改正と照合しながらすすめていく。

DV法の保護命令は、加害者がパートナーに接近することを禁じてはいても子どもへの接近禁止を明文化していない。加害者が子どもに接近し、誘拐する、あるいは心理的身体的虐待を加えるなどが数多くおきている。

*DV法の改正で、、、①DVの被害者の定義の中に子どもを含める。 ②接近禁止の対象に子どもを入れる。電話、メールなどのコンタクトも禁じる。 ③保護命令の手続きの簡素化。 ④緊急保護命令制度の制定。接近禁止、退去ともに少なくとも1年間。 ⑤違反者への懲罰をもっと厳しく。 ⑥長期的生活再建支援のための法整備とリソース。安心、安定した生活環境を子どもに保障する。

*児童虐待の法改正で、、、①虐待の定義の中の心理的虐待に「保護者間の暴力を見て育つこと」を含める。 ②法改正ではないが、児童相談所はDVが同時に起きている子どもを一時保護したときは、DV加害者である保護者への通知をしない。③一時保護所の環境改善。

*親権のみなおし

*面接交渉権の明文化

*一人親家庭への経済的支援

*その他たくさんの関連法、施策の検討が必要

 

9.本則に3年ごとの見直しを入れる。

前述したように、児童虐待防止法の改正はこの夏までに大筋の論点整理が終わり、秋には国会上程が予想される。法改正への要望、意見は早急に以下の団体、機関へ寄せて欲しい。

 

◆児童虐待防止法の改正を準備する会 FAX:0798-51-2903
http://www4.osk.3web.ne.jp/~stmorita/

◆チャイルドライン設立推進議員連盟(保坂展人事務所) 児童虐待防止法改正ニュース
FAX:03-3597-2800

◆衆議院青少年特別委員会 委員長 青山二三  FAX:03-3508-3817

(月刊ヒューマン・ライツ 2003年7月号掲載)

児童虐待・顕微鏡

国会豆知識  議員に会うには?

まず議員会館(衆議院第一、第二、参議院)の受付で面会申込書に住所・氏名・面会を希望する議員名を記入して、提出。受付の人が議員の部屋に電話をし、O,Kがでると、入り口の手荷物検査を受け、議員の部屋へ。いったん入って、連絡用のパス(首からぶら下げる名札のようなもの)を議員から借りられれば出入り自由。

ただし衆議院のパスで参議院に入る事は出来ません。別に参議院の受付で手続きが必要。手荷物検査はかなり厳重。缶バッジでも主義・主張をアピールするとすぐわかる物ははずされます。

 

国会こぼれ話

① 国会の時の流れ

国会に行き始めた5月半ば。ちょうど有事法案が大詰めのときでした。国家の根底に関わる重大問題なのに、国会では平然と時が流れて行く。いろんな委員会が平行して異なる問題を審議している…ここでは有事法案も単なる法案のひとつにしかすぎない…こうやって児童虐待防止法も国会の審議の歯車に組み込まれ、あっという間に決まってしまうのだろうか…背筋が寒くなりました。

②すごいデーター・ベース

勉強会の資料を百人以上の関係議員に配ろうと、名簿から議員を選びだし、部屋番号を書き出して、階を分けて・・・。 すると若い秘書の人が「あのう…せっかくですが、そういうことはパソコンで一発で出ますので。」 「えっ?!」 「内線番号に意味がありまして、この桁が衆議院・参議院の区別、この行が何階か分かるようになってて、この選別で、議員の会館、何階か、部屋番号すぐ出ますので。」

そしてにっこり笑って私が廻ろうと思ってた議員の会館別、階別の一覧表、あっという間に打ち出してくれました。凄い!これが噂に聞いてた「アクセス」かー。

で次回の勉強会後、「あのう、今日欠席だった議員で○○委員でない議員さん、打ち出してもらえます?」 「うーん、それは、はい、これで選び出した方が早いですよ!」と国会便覧という冊子を渡されました。2,3人を選び出すなら手の方が早いってことですね、了解!

児童虐待防止法の改正の動きが進んでいます。国会ではチャイルドライン設立推進議員連盟を母体に、超党派の議員で構成する『児童虐待防止法改正検討チーム』に発展し勉強会が続けられています。

当会の事務局からこの勉強会に参加し、内容が「児童虐待防止法改正ニュース」にまとめられています。これを参考に是非取り入れたい改正点を検討チームの議員にファクスで送ってください。議員名簿を同封してあります。

『児童虐待防止法の改正を準備する会』

〒662-0891  兵庫県西宮市上ヶ原1番町1-122
エンパワメント・センター気付
TEL・FAX:0798-51-2903

 

 

 

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